【完】時を超えて、君に会いに行く。



私を見つめるその瞳は、微かに揺らいでいる。



無言で、〝どうしたの?〟 〝何かあったの?〟そう聞いてくれてるみたい。



何から伝えていいのかわからない。



「……言うの、遅くなってごめんね」



だけど沙奈……聞いて。



大切な親友に、聞いてほしい。



「彼方のことを好きって自覚したの、ホントについこないだで……。これじゃ言い訳じみてるけど、言えなかった。
たぶん、聞かれなきゃ、沙奈に言うつもりなかったと思う」



「うん」



「……怒ってる?」



「怒るわけないじゃん。だって、おあいこでしょ?」



「えっ?」



「私もずっと、自分の夢のこと未歩に内緒にしてたんだから」



ニコッと笑う沙奈。



「でも、違うじゃん。私、沙奈の好きな人を好きになっちゃったんだよ?」



それってあまりに、最低なこと。




「なーに言ってんの!そんなんで怒るかっての!人の気持ちなんて操れるものじゃないんだから。
仕方ないことだってあるんだよ。
ていうか、言っとくけど私、確かに彼方のこと好きだけど、未歩も大好きなの。大切なの。嫌いになんてなるわけない」


それに、と、沙奈は言葉を紡ぐ。



「私はもうとっくに振られてるんだから」



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