【完】時を超えて、君に会いに行く。


「…………」



沙奈はしばらく考え込み、そしてふと顔をあげ、私を見た。



「これは、言わないでおこうと思ってたんだけど……あのとき」



沙奈の一声に、耳を傾ける。


……あのとき?



「私が彼方に振られた日……。
未歩より先に、彼方に会って話してたとき。
彼方に言われたことがあるんだけど……」



そこで言葉を止め、一瞬戸惑いの表情を浮かべる沙奈。


だけどすぐに口を開いた。



「私が航とふたりで帰った日のことを、未歩が気にしてるみたいだから誤解を解いてほしいって頼まれたの」



「え……?」



「航とふたりで帰った日、私はある交換条件で、彼方のことについて相談に乗ってもらってたんだよ。彼方のこと好きだったから」



「ちょ、ちょっと待って……。どういうこと?」



頭がこんがらがって、整理できない。


まず、彼方は私がふたりの関係について気にしていたことに気づいてたの?


そしてその事実について、私が誤解しているから解いてほしいって、沙奈にそうお願いしたってこと?


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