【完】時を超えて、君に会いに行く。
「彼方言ってたよ。未歩は、航が私のことを好きだって誤解してるって」
「……誤解、なの?」
「そんなはずないじゃん。航がなんで私なんかを好きになるの?」
「……だって」
だって、沙奈は可愛いし、優しいし、気遣いもできるいい子だから。
ひねくれた、意地っ張りな私なんかより、素直で優しい沙奈の方が誰だっていいに決まってる。
それに、航が言った。
――『悪いけど俺、今日は沙奈に話があるから、ふたりで帰ろうと思ってて……』
ふたりで帰るって決めたのは、沙奈じゃなくて航でしょ? 航の意思でしょ?
「別に私が一緒にいたって問題なかったじゃん。それなのに、なんでふたりで帰ろうと思ったの?
なんでそこに、私はいちゃダメだったの?」
なに言ってんだ、私。駄々をこねる子供みたいな発言をして、バカみたいだ。
無性に恥ずかしくなった。言ったことに対して少し後悔する。
けど沙奈は、困った表情を見せることなく真面目に答えてくれた。