【完】時を超えて、君に会いに行く。


「航も私に相談したいことがあったんだよ」


「……相談って?」


「それは私からは言えない。秘密って約束だから」



そしてやっと今、沙奈は困ったように笑う。


こんな表情をさせてしまってるのは、紛れもなく私だ。



「近すぎて、見えなくなっちゃってたんだね」



ポツリ、沙奈が独り言のようにつぶやいたのが聞こえた気がした。



「え……?」


「ううん、なんでもない」


独りで納得し、少しさみし気に顔を伏せた沙奈は、座ってる席から窓の外を見つめた。


私もつられて窓の方を見てみる。



その先を追えばたぶん、外で部活をしてる航がいる。真っ直ぐにに前を向いて、走ってる航がいるんだろう。


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