【完】時を超えて、君に会いに行く。
帰り際。沙奈と話し込んでしまって、すっかり遅くなってしまい、外は暗くなっていた。
「遅くなっちゃったね!早く帰ろっか」
「うん」
校舎を出て、ふたり並んで歩く。
沙奈と帰るの久しぶりだなぁ、なんて思っていると、ふいにおだやかな風が吹いた。
それにつられるように、私はうしろを振り返る。
それはまるで、なにかの合図みたいに。
「……?」
振り返った先には、さっきまでいた学校。
校門のところにいる私は、校舎のとあるひとつの窓が目に留まる。
今ちょうど、あの窓のカーテンが閉められた。
あの教室に、誰かいる……?
「どうしたの未歩?」
「あ、いや……あの教室にまだ誰か残ってるみたい……」
指差した教室を見て、沙奈はうーんと考え込む。