【完】時を超えて、君に会いに行く。


放課後になり、あたしは帰りの支度をすると、図書室に向かう。



「未歩」



だけどすぐに、誰かに呼び止められた。


振り返ると、部活に行く前の制服姿の航がいる。



「どうしたの?」


「どこ行くんだよ」


「どこって、図書室だけど」


「……本当に行くのか?」



なんで、そんなこと聞くんだろう。



「うん。だって、寺本くんが待ってるし……」



口を結んだまま、航は視線だけでなにかを訴えてくる。


でも、全然わからないよ。航はいつも、あとひとことが足りない。



「……できるだけ、早く帰れよ」



それだけ言い残して、航は教室から出て行ってしまった。


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