【完】時を超えて、君に会いに行く。
「私じゃない。私は昨日、美術室にいた……」
「そうなのか?じゃあ、誰がそれを?」
私は昨日の出来事を思い出した。
昨日の帰り、沙奈と歩いてる途中にくるりと校舎を振り返ると見えた、窓越しの人物。
もしかして……
「……彼方?」
「は? あいつ入院中だろ?学校にいるワケないじゃん」
「だよね……」
そんなことは、わかってる。
だけど、この原稿用紙を見てよ。
これは〝今の私〟が書いた物語じゃない。
ずっと前に、航が事故に遭う前に書いてた物語だ。
無くなったはずなのに、どうして残ってるの?