【完】時を超えて、君に会いに行く。



「寺本の用って、なんだったんだよ?」



……ドキッ。


まさか、航にそのことを聞かれるとは思ってなくて、心臓が騒ぐ。



「別に……たいした用じゃないよ」



「俺には言えないようなことか?」



その言葉があまりにも切なくて、あたしは思わず顔をあげてしまった。


ユラユラと揺れてる航の瞳と目が合う。



こんなにも真正面で、ちゃんと航の顔を見たのはいつぶりかな?


今まで私は、航と向き合うことから逃げてきた。



素直になれなくて……小説のことを、言えずにいた。


< 258 / 420 >

この作品をシェア

pagetop