【完】時を超えて、君に会いに行く。
「寺本の用って、なんだったんだよ?」
……ドキッ。
まさか、航にそのことを聞かれるとは思ってなくて、心臓が騒ぐ。
「別に……たいした用じゃないよ」
「俺には言えないようなことか?」
その言葉があまりにも切なくて、あたしは思わず顔をあげてしまった。
ユラユラと揺れてる航の瞳と目が合う。
こんなにも真正面で、ちゃんと航の顔を見たのはいつぶりかな?
今まで私は、航と向き合うことから逃げてきた。
素直になれなくて……小説のことを、言えずにいた。