【完】時を超えて、君に会いに行く。


「どうせ、告られたんだろ?」


「はっ!?」



告るという単語にビックリしてしまう。



「違う! 全然違うよ! 」



つい、大きな声で否定してしまった。


だって実際、告白じゃなかったし。



「私がずっと前に置いてきたものを、寺本くんが返してくれたんだよ……」



私が過去に書いてた物語。


航が事故に遭ってしまったあの日までは、私が書いてた物語。


無かったことにしたはずの時間の中に取り残されていた物語を……どうして寺本くんは持っていたんだろう。



「ずっと前に置いてきたもの?」



航は不思議そうに首をかしげた。


言いたいけど、うまく説明できない。


なんて言えばいいのかわからない。



でも航に言えることは……。



「告白なんかじゃないよ。 どうしてそんなこと聞くの?」



焦るから、やめてほしい。


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