【完】時を超えて、君に会いに行く。
あの日、あの時、あの金曜日。
彼方と一緒に帰りたがっていたはずの航が、あの日だけは私とふたりで帰りたいと言っていた。
理由を教えてくれずに、納得できなくて、航を失うかもしれない恐怖から、私が一方的に航の態度にイライラして、ケンカして、結局。
「それどころか、俺をかばって、彼方が事故に遭っちまった……」
そう……。航ではなくて、彼方が事故に遭ってしまった。
悔しそうに眉尻をさげ、そうつぶやく航の声は震えている。
もしかしたら今、彼方が目の前で事故に遭ったときのことを思い出しているのかもしれない。
そうさせてしまったのは、まぎれもなく私だ。