【完】時を超えて、君に会いに行く。


ごめんね、航。本当にごめん……。



喉の奥がギュッと熱くなって、声にはならなかった。



なんで、もっと早く……。



今まで私達には、たくさんの時間があったはずなのに、なんで今になって気づくんだろう。


思いだそうとすれば、たくさんのことを思いだせたはずなのに。



そうしていれば、あの悪夢のような出来事が変えることができたかもしれないのに。



もっと多くの時間を素直に過ごしていたら、もっとお互いがわかりあえていたかもしれないのに。


なんでもっと、話をしなかったんだろう。


なんでもっと、自分の気持ちを伝えなかったんだろう。


私がもっと、航をわかろうとしていたならば……。



些細な会話も、一緒にいたときの航の表情や行動も、ちゃんと見ないで、ちゃんと聞かないで。


勝手に不安や不満を抱いて、文句ばっかり口にしていた自分は、なんてバカだったんだろう。



後悔ばかりが、重くのしかかる。


もっとちゃんと、航と向き合っていればよかった。

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