【完】時を超えて、君に会いに行く。
大きくなったなぁ。そんなことを思ってた、あの最初の金曜日。
笑いあってたあの日々を、私はなかったことにしてしまった。
……時を超えたことによって。
「ごめん……航」
もう、それしか言えない。
航に謝ることしかできない。
家が隣同士。
私より小さかったはずの身長は、いつの間にかたやすく私を追い抜いていた。
大きくなっても、ほっとけなくて、無邪気で、陽気で……。
『未歩ごめん』
ケンカしても、絶対に先に謝ってくれる。
ホントは誰よりも優しい男の子。
ごめん。
ごめんね。
「……わ、たる……」
「わかってるから」
そっと、あたしを抱きしめる腕。
それはまるで、大切なものに触れるかのように、優しくて。
「お前のことずっと見てきた俺は、わかってるから」
ポンポンっと撫でるその手は、泣き虫の子供をあやすみたい。
「お前は、好きな奴がいるんだろ?」
「…………」
「そいつのとこに、行くんだろ?」