【完】時を超えて、君に会いに行く。



いつからだろう?


君の走る姿を追いかけていたのは。



いつからだろう?


君の背中を、見なくなったのは。




幸せの1番の近道はきっと、素直になること。


だけどみんなそれがうまくできないからきっと、遠回りして大人になる。




「大好きだった」



そう告げた航が、走り出す。


それと同時に、風が作り上げられた。



まるでその風はサァァッと、航に従うように吹き抜ける。


草木もそれにならって、おだやかに揺れた。


頬に伝う私の涙が乾いていく。



やっぱり、私の幼なじみは優しかった。


風を作って、背中を押して、涙を拭い去ってくれたね。


瞳に映ったのは、もうボヤけてなんかない鮮やかな世界。



その中で君は、走ってく。


その大きな背中をあたしに向けて。


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