【完】時を超えて、君に会いに行く。


「なーに謝ってんの!」


「いたっ」



沙奈が私の背中を強く叩いたその拍子に、一歩前にでてしまう。



「弱気になって、未歩らしくもない!未歩は何も悪くないんだから、堂々としてなさい!ほら、早く行った行った」



しっしっと払いのけるようなしぐさで私に先を促す沙奈。


行動は荒いけど、それはすべてヘタレこんでる私のためだって、今ならわかる。



「……ありがとう」



だから、私はそれだけ告げて前を歩き出した。



「あ、そうだ。未歩」



沙奈に呼び止められ、再び振り向く。



「どしたの?」



「あのね。あの絵、もうすぐ完成しそうなの。たぶん、今日あたり仕上がると思う。だから、彼方に伝えといてくれないかな?
そんで、未歩も完成したら見にきて!」



めいいっぱいの笑顔でそう言った沙奈。


絵のことに関しては、沙奈は本当に幸せそうに語るんだ。



「わかった」


私はそのまま手を振って、病院へ向かった。


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