【完】時を超えて、君に会いに行く。



久々に行く彼方のお見舞いは、とても緊張する。



あの日以来だ。私が勝手に病室の床頭台をあけようとして、彼方に拒否された日。



時間が解決してくれるだろうって逃げてたけど、それじゃあ何も変わらなかった。


ちゃんと自分から動きださなきゃ。




病室の前に到着し、私は深呼吸する。扉を開けるのが怖い。



彼方になんて言おう?


まずは謝って……それで……。



って、こんなこと考えてても拉致があかない!もうどうにでもなれ!



私は思い切って、目の前の扉を開けた。




ぼんやりと、目の前の光景を見つめる。



「……いない」



病室の中には、誰もいなかった。

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