【完】時を超えて、君に会いに行く。


「いつも、何時くらいに帰ってくるんですか?」



「夜にはいるのよ、必ず。夕方はいないの……ちょうどこの時間帯」



この時間帯……。


それは、学校が放課後の時間。




「それっていつからですか?」



「そうね……3日前からかしら?私達が気づいてないだけで、本人はもっと前から抜け出してたかもしれないけど」



3日前……。私が沙奈と、秘密の打ち明けっこをした日だ。



あの日の帰り、放課後、校門のところから校舎を振り返れば、図書室のある窓から人影が映った気がして……それが私には、彼方に見えたのを覚えてる。




「そういえばちょうど3日前のいなくなった日から、彼方くん様子がおかしかったのよね。
今朝のリハビリのときも、心ここにあらずっていうか……ぼんやり考え事してるみたいで……」




考え事……?彼方が?


もしかして、なにか悩んでるんだろうか。


わからない。わからないけど、私、そんなときに彼方のそばにいてあげられなかったんだ……。

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