【完】時を超えて、君に会いに行く。
私は急いで、原稿用紙を持ったまま病室を飛び出した。
どうしよう。私はどうすればいい?
彼方に今すぐにでも確かめたい。
だけどどこにいるの?
学校……?そんなの嘘だよね?
私があの日見た後ろ姿は、彼方じゃなくて寺本くんでしょ?
だって寺本くんは、図書委員であの日残ってたから……。
そのとき、寺本くんの言葉を思い出した。
〝図書室に誰かいたみたいで、俺の物音でそいつ、慌てて部屋を出て行ったんだよ。
んで見たら、これが落ちてたから、上原が残ってたのかなって思って……。〟
……ああ、もう頭が回らない。ワケがわからなくなる。
こんがらがった頭を、一度すべてリセットしたい気分だ。
だけど、それじゃあ前と同じじゃない。逃げてるだけだ。
現実からも、彼方からも。
変わらなきゃ。
沙奈も航も、私に本当のことを打ち明けてくれた。
私だって、強くなりたい。
前を向いて、夢に向かって、堂々と歩いて行きたい。
もう、時の流れに身を任せるだけなんていやなの……!
気づけば自然に、私の足は学校へと向いていた。