【完】時を超えて、君に会いに行く。
失くしたモノ
「それ、どこで見つけたの? 未歩」
彼方は立ち上がり、私に歩み寄ってきた。
オレンジ色の夕日を背後にたずさえた彼方の口調は優しいけれど、どこか責めるようなまなざしで私を見ている。
聞きたいことがあるのは、私の方だ。
「彼方、病院は? もう足は大丈夫なの……?」
さっきの看護師さんの話じゃ、松葉杖をついてやっと歩ける程度のはず。
なのに今は、なんの支えもないのに平然と立っている。
「足はずっと前に治ってた。今は、探し物があってここにきてる」
……ずっと前に治ってたって、なに?
そんなの彼方がわかることじゃないよね?