【完】時を超えて、君に会いに行く。
どうして……?
だって彼方、楽しみにしてるって……。
私がいつか完成させるのを、どれだけ遅くなっても待ってるから、1番に見せてって言ってくれたじゃん。
約束をしたのに、どうして……?
戸惑いを隠せていないであろう私。彼方はふっと肩の力を抜くと、悲しい表情を見せた。
「そんな顔をさせるってわかってたから、言いたくなかったんだ……」
いつも私が無理を言って、彼方を困らせていた表情に、どこか似ている。
「こんなはずじゃなかったのにな……」
彼方はそう告げて、私の手をしっかりと握りしめた。
私の手が、戸惑ったまま迷子にならないように。
そして、触れ合う私の手を見て確信したようにつぶやいた。
「やっぱり……今の未歩なら、もう大丈夫だ」
切なげな彼方の笑顔は、消えてしまいそうなくらい優しくて。
「聞いてくれる?俺の話」
私の心は、締め付けられるようにヒドく疼いた。