【完】時を超えて、君に会いに行く。



疑問に思うことはいくらでもあったのに、私はいつも大切なことから目を逸らしてきた。



大切な人に、真っ正面からぶつかれなかった。


弱かったから。




「だから、会いに行こうって思ったんだ。この時代の未歩に」



彼方は私を見つめたまま、微笑む。


いつものあの優しい笑顔で。



「彼方は、私を騙してたの?」



――私が勇気をだして、時を超えたことを打ち明けたとき、彼方は驚きもせず、すんなりと受け入れてくれた。



「……ごめんな」




――どうして、何年も経ったかのように色褪せた私の原稿を、彼方は持ってたんだろう?



震える唇を、ゆっくりと動かす。



「彼方も、タイムリープできるの?」



「未歩。もう、気づいてるんでしょ?」



「…………」


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