【完】時を超えて、君に会いに行く。



最後まで確かめなかったのは、私がただ単に認めたくなかっただけなのかもしれない。



このままなにも知らずに、すべての違和感から目を背けていれば、私は良かったのだと思う。



リセットボタンを押すように、何もかもを忘れて。見ないフリして。



のんびりと小説を書きながら、平和な日々を過ごしていたら良かった。わざわざ真実を知る必要なんてなかった。



……でも、私、彼方のこと好きだから。



沙奈や航が、背中を押してくれたから。



ちゃんと彼方と、向き合いたいって思ったの。



彼方は、もう何も言わない。


だから私は、自分で確かめるしかなかった。

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