【完】時を超えて、君に会いに行く。
「もう夏も終わりだなぁ〜」
ようやく落ち着いた航は、しみじみと空を仰ぎながら、そんなことをつぶやいている。
まだこの時間でも、空は明るい季節。
航に続いて、私も空を仰いだ。
「……そうだね」
もうすぐ、日が暮れるのが早くなるんだ。
「あっ。そういえば、沙奈は?」
ふたり並んで歩く帰り道の途中、航はそんなことを聞いてくる。
沙奈とは私の親友のこと。
内村 沙奈(うちむら さな)。
美術部に所属していて、週に2、3回、暇なときはあの美術室で絵を描いている。
水彩画が得意な美人な女の子で、私の自慢の友達だ。