【完】時を超えて、君に会いに行く。



その頃ちょうど、俺を拾った研究者がタイムリープの実験台を捜していた。



亡くなった孤児院から引き取った子供達もいたし、俺みたいな身寄りのない子供もいた。



周りの子供達が怯える中、俺はひとり、その実験に運命を懸けた。



タイムリープの力を研究者から学び、自分の力でコントロールすることさえできれば、俺はいつかこの人に出会えるんじゃないか……と。



だから自分から、その実験台になると名乗り出た。



家族がいなくなり、独りになった俺は既に生きる知恵を手に入れていた。


他人の顔をうかがい、どんなことを考えてるのか、それを想像しながら関わる。


知識や思考力、学力は、様々な本を読んだおかげで普通の子供よりあったと思う。


教本を頼りに、研究者が見つけ出した研究成果を自分のものにして、自己探求を始め、それをコントロールする力を習得した。



独りは人を強くする。


けれどそれは反対に、孤独を意味し、寂しさをもたらす。




子供ながらに、バレずにすべてを手に入れることができた。



……過去に行く準備は、十分整った。



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