【完】時を超えて、君に会いに行く。
それからしばらくして、俺はこの原稿用紙がなぜ俺の家に……書斎に大切に保管されていたのかを考えた。
思いついたのは、俺の先祖に当たる人間が上原未歩という人物と接点があり、この原稿用紙が俺の時代まで受け継がれていたということだった。
それか、上原未歩自身が、俺の祖先に当たるのか……?
だとすると、俺の家にあったのも納得ができる。
でも、真実はまだわからない。
物語は人の手に渡り、読まれ、人々の心に残り、受け継がれていく。
そういうものだから。
この時代に住み着くために、俺は必要な家族を得た。
養子を探していた老夫婦がいた。その人達に記憶操作を施し、俺はそこの家族になった。
久々の人間関係に最初は戸惑ったものの、そこの老夫婦はとても優しく、馴染むのにそう時間はかからなかった。
久々の家族のぬくもりに、何度泣きそうになったことか。