【完】時を超えて、君に会いに行く。



そのまま高校生になった未歩は、ようやく自分で小説を書きたいという気持ちになったらしい。



原稿用紙と万年筆を手に取り、書き出した。



俺は毎日、毎日それを見守っていた。



遠くから息を消すように、自分の存在を消して。


誰にも見つからないように……。



家族にも幼なじみにもそのことを内緒にしてる未歩。


高校でできた沙奈と呼ばれる友達にだけ、打ち明けているらしい。



一見、ありきたりな思春期の少女の高校生活であり、なんの変哲もない日常に思える。



小説だって、順風満帆に進んでいた。



これからもそうだと、思ってた。



思ってたんだ……なのに、まさかあんなことになるなんて。




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