【完】時を超えて、君に会いに行く。
いつもみたいに、幼なじみとふたりで帰る未歩。
けれどその日は、いつもと違った。
「何買いに行くんだよ?着いて行くけど」
「い、いい! 来なくていい!」
「はぁ?なんでだよ。
そんな遠くに行くつもりか?仕方ねぇから荷物くらい、持ってやるよ」
「大丈夫!すぐそこだから、先に帰ってて!」
「すぐそこなら俺も着いて行くって」
「いいから!じゃあね!」
「あ!おい、未歩っ!」
このあと……こんなにも純粋で、幼なじみ想いのふたりが、あんな過酷な現実を突きつけられるとは……思ってなかった。
──キイィ……!
今でも鮮明に思い出せる。
聞いたことのない、鼓膜が張り裂けそうな嫌な音が、俺の耳の奥でジンジンと悲痛の叫びをあげるみたいに、響いてる。
俺はただ、彼女を助けることもできずに、その運命を傍観者のように見守っていた。
「未歩っ!!」
彼女を救ってくれたのは、幼なじみの航だった。