【完】時を超えて、君に会いに行く。
見ているだけだった俺は、行動に出た。
過去に飛び、高校生活を始める未歩と同じ立ち位置に足を踏み入れる。
……やり直そう。
歴史を変えるのはいけないことだ。けれど修復すれば問題ない。
俺はただ、未歩の物語の完結を見届けたい。
そうして彼らに近づいた。
同じクラス。
引き取ってくれた老夫婦からもらった、一瀬という名を名乗り、俺は一瀬彼方として入学した。
和泉航とは席が前後で、より近づくために陸上部にも入った。
……思いっきり走ることがこんなにも楽しいなんて、知らなかった。
「お前すげーな!!」
そう言って声をかけてきた航とは、すぐに仲良くなれた。
血縁関係があるからなのか、気が合うし、一緒にいてもまるで兄弟と一緒にいるように落ち着く。
部員には、お前らの走り方は似ていると言われたくらいだ。