【完】時を超えて、君に会いに行く。
未歩を過去に飛ばそう。
最初は戸惑うかもしれないけど、一度やり直せると知ったら、それでうまく航の事故を回避してくれるかもしれない。
そうして俺は、〝そのとき〟がくると、実行した。
時間を跳躍するには、必ずしも条件があった。
それは、未来人が飛ばしたい対象物に触れていること。
言いかえると、俺が未歩に触れているということ。
そしてもうひとつが……対象物の強い後悔。
すなわち、未歩の過去に戻りたいという気持ち。
それらが引き金となって、超振動が起こり、時を超えることができる。
1度目は、航が事故に遭ったときに、よろめく未歩を抱きとめたとき。
2度目は、航を追いかける未歩を引き止めるために、腕を掴んだとき。
両方とも、うまい具合にタイムリープすることができた。
俺自身がタイムリープするときは、本人の思考力とコントロールで時間跳躍が可能であるのに対し、他者を飛ばすにはその人の〝思念〟が必要である。
それくらい、人の想いに秘められてる力はすごいということだ。