【完】時を超えて、君に会いに行く。




航が事故に遭わなければ。


航が夢を叶えられるのなら。



未歩は罪の意識を感じることもなく、小説を書き続けられると思ったから。


そうすることで、小説を無事に完結することができると思ったから。



だから航の代理になった。



どうせ傷ついても治ってしまう体だ。荒んだ時代に身を置く無価値な俺が、事故に遭えば済む話じゃないか。


そんな軽い気持ちで。




だけど未歩は……。



航が助かったのに、未歩は……。



俺が生きていたことに、「よかった」と、そう言って涙を流してくれたんだ。




……彼女はとても、優しい心の持ち主だった。




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