【完】時を超えて、君に会いに行く。
『私が絶対、彼方のそばにいる』
静かな病室で、未歩はまっすぐに俺の目を見つめてそう言った。
窓からは夕日が差し込んでいて、未歩の凛とした顔をオレンジ色に照らしていた。
俺にはそれが、眩しかった。
『彼方がなんで、そんなさみしいこと言うのかわからないけど……。
さみしいなら、私がいるし……みんなもいるし……彼方がいなくなったら、私悲しいんだからね!』
涙目で、強く強く俺を見つめてくれる未歩に、俺の心が大きく揺さぶられるのを感じた。
大きな瞳からポロポロと俺を想って零れ落ちる涙が愛しくて、俺は思わず未歩の瞼に手を伸ばしていた。
無意識だった。
初めてだった。
自ら人に、触れたいと思ったのは。