【完】時を超えて、君に会いに行く。



俺きっと、この時代の人達が好きなんだ。


優しくて、何事にも一生懸命で、眩しくて。



人間らしい一面が、大好きなんだよ。未歩。



俺はよく、みんなに優しいねって言われるけど、全然そんな人間じゃない。



俺が優しくなれたのは、この時代のみんなが優しかったからだよ。




まるで恋焦がれるように、未歩と巡り会う瞬間を待ち望んでいた。



ようやく未歩を見つけて、同じ歳で、同じ場所で、同じ時間を共有できるようになり、共に過ごす中で、未歩の優しさに触れた。



『彼方、ありがとう』



あの日の笑顔が、俺を変えてくれたんだ。


……まるで、閉ざされた心を解き放つように。




ほどなくして、俺は未歩に恋をした。



ああ、好きだなって。


守りたいって。



そんな感情が溢れ出たとき、俺はようやく生きる理由を見つけることができた気がしたんだ。



俺はどこまでも、航と似てるみたいだ。




この体はもう、俺のものじゃない。


あのとき、未歩が救ってくれたから、俺はここでこうして、心のままに生きていくことができている。



だから、俺は……未歩のものなんだよ。



俺がようやく見つけた生きる理由は、ただひとつ。


俺を救ってくれた未歩を、この世界の全てから守ること。



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