【完】時を超えて、君に会いに行く。




……ごめんな、未歩。



「この通り、俺は人の記憶も操ることができる。未来の文明はこんなにも進化してる。怖いでしょ?」



……こんな風に傷つける方法でしか、君を守ることができなくて。



俺の言葉に、頷くことも、首を振ることもしない未歩。

ただ、呆気にとられてボーッとしている。頭の中が真っ白なんだろう。



それなのに俺は……。




次の言葉を口にすることを、ためらった。


未歩の泣く姿を、見たくはなかったから。



心臓が締め付けられるように、苦しい。辛い。




なぁ、未歩……。




「……俺は、君の記憶を消すこともできるんだ」




こんな方法でしか、俺は、君の悲しみを消すことができない。




「……え?」




目を丸くする未歩に、何か言われる前に。


止められて、決意が揺らぐ前に、俺は言葉を紡ぐ。





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