【完】時を超えて、君に会いに行く。



小説を書いている自分の横顔の絵を見ていると、無性にも小説を書きたい気持ちになった。



後ろ髪を引きつつも、私は絵を見ることをやめて、いつもの指定席につく。



毎日、小説を書いている私の特等席だ。




「よし……書くか!」



気合いを注入し、そっと机の中にある原稿用紙に手を伸ばす。



だけど……。



「ん?」



私は自分の原稿用紙を手に取るのをやめた。



机の中にもう一つの、色褪せた紙の束が入っていたのだ。


それが視界に映ってしまった以上、気になってしまい、そちらの方へ手を伸ばしてしまったんだ。



その一連の流れが、まるで紙束が〝気づいて〟って、私に訴えかけてくるように思えた。



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