【完】時を超えて、君に会いに行く。
だけど、呼んでも呼んでも、「未歩、呼んだ?」と、彼方が姿を現すことはなかった。
「彼方……っ!」
図書室のドアをあけ、叫ぶ。
「うわっ、ビックリした。上原か」
「……あ、寺本くん」
図書の本の貸し借りの当番であろう寺本くんは、カウンターから急に現れた私に驚いてるようだった。
「そんなに急いでどうしたの?息切れてるけど、大丈夫?」
「寺本くん、彼方がどこにいるか知らない?いなくなっちゃったの……!」
私の言葉に、寺本くんは首をかしげる。
「彼方って、誰?」
……そんな……。
「一瀬彼方だよ……クラスメイトの!」
「そんな奴、最初からいないよ」
「いたよ!寺本くんが忘れちゃってるだけ!」
「おい、上原、落ち着いて……」