【完】時を超えて、君に会いに行く。
荒ぶる私を、寺本くんは必死になだめる。
無茶を言ってるってことはわかってる。
私だって、ついさっきまで彼方のことを忘れていたのに、人のことを言えないじゃない。
みんなの記憶から彼方の存在が消えてしまっているのは、おそらく彼方の仕業だ。
自分のもといた時代に戻る前に、自分の存在をなかったことにすると、言っていたから。
それなら私が、阻止しなきゃ。
彼方が未来に帰ってしまったと、決まったわけじゃない。
だけどこうしてる1分1秒のうちに、彼方は着々とこの世界から消えていってる気がする。
立ち止まってちゃダメ。進まなきゃ!
「ごめん、寺本くん。行ってくる……!」
「え、あ……ちょ……!上原!」
私は図書室を飛び出して、あるところへ向かった。