【完】時を超えて、君に会いに行く。
「そんなはずないんです……!」
私は現実を受け入れられなくて、首をふる。
頼りなさそうに、自分の声が震えていた。
「か、彼方は足を怪我して、救急車で運ばれて……ここに入院したんです。
もう走れないかもって、私のせいで、私が小説書けなくなったから……助けるために、事故に遭っちゃって……」
驚くくらい、饒舌になってる私がいた。
焦燥感に駆られていて、目の前のことに精一杯で、周りがまったく見えない。
彼方の行方だけしか、考えられない。
「いつもそうなんです。自分を犠牲にして、誰かのために優しいんです。人のために傷つくんです……っ」
視界が霞む。
いつの間にか、私の瞳から涙が流れていた。