【完】時を超えて、君に会いに行く。
「彼方……本当に未来に帰るの……?」
「うん」
迷いなく頷く彼方に、胸が苦しくなる。
この人を手放したくない。
そんな思いが邪魔をして、私はギュッと、彼方の服の裾を掴んだ。
「やだよ。行かないで……。私の小説、まだ完成してない。完結したら1番に見てくれるって言ったじゃん」
「うん。俺も本当は、ここにいたいよ。ていうか、本当はずっと、ここにいるつもりだったんだ」
「えっ?」
初めて聞いた彼方の言葉に驚いて、顔を上げる。
今までで1番近い距離で見つめ合う形になって、ドキリとした。
思いの外、彼方の顔が赤い気がしたけれど、それは夕日のせいなのか……よくわからない。
彼方は私を見つめたまま、告げる。