【完】時を超えて、君に会いに行く。



――未歩達を騙したまま、もし未歩の小説が完結したら、タイムパラドックスが起こらないように時間を戻して、この時代にとどまり続ける気でいた。

でもこの時代に来て、未歩達に会って、俺の考えは変わった。


未歩が教えてくれたんだ。後悔しないために、向き合えって。


俺は、俺のもといた時代から逃げていた。

それに甘えて、理由をつけては、目を背けてきた。

なのに、そんなズルい俺に……未歩達はまっすぐに向き合ってくれた。



航……沙奈……未歩。


それに、ニセであっても、俺の祖父母でいてくれた親。


みんながいたから、幸せだったよ。


みんなといた時間があれば、俺はもう大丈夫。


逃げることは、もうやめる。


なによりも、未歩。君が教えてくれたんだ。


向き合うことの、大切さを。


君はいつも、真正面から俺と向き合ってくれたよね。


それが俺にとって、どれほど嬉しかったか、わかる?



俺は、後悔しないよ。


未歩に出会えたことも。

未歩の大切な人を守れたことも。

未歩の夢を叶えれることも。


1番に読むという約束は守れないけれど……待ってるから。ずっと先の未来で。



君がこれからその手で描く小説は、どんなものになるのかはわからない。


だけど、これだけは知ってる。


未歩の小説は、未来でたくんの人を幸せにする。必要とされる。愛される。そして、ずっと先まで受け継がれていくだろう。


この俺が保証する。


だから、信じてる。


未歩が作る未来を。

未歩の物語と出会える未来を。


信じているから――。

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