【完】時を超えて、君に会いに行く。
そして……。
航と彼方は陸上部へ。
沙奈と私は美術室へと向かった。
沙奈はいつものように、そのしなやかな手で、持ち前の器用さを使い、繊細な絵を描く。
鉛筆の持ち方や、紙を見るその目が、すごく真剣でかっこいい。
「なに見てるの?未歩も早く書きなよ」
私の視線に気づいた沙奈は、絵から私へと視線を向け、そんなことを言ってくる。
「んー。今はちょっと、書く気になれなくて」
「え、スランプ?」
「うーん。そんなもんかな」
美術室に来て、まず第一に私は書きかけの原稿を見てみた。
すると、金曜日まで書いてたはずの物語が消えていて、月曜日のところまでで止まってる。
確かに私は、この続きの物語を書いたはずなのに。
全てをなかったことにされたみたいに、私の文章は帳消しにされていた。