【完】時を超えて、君に会いに行く。
「沙奈、お疲れ」
「ははっ、ありがとう。やっと未歩と話せた〜」
無理もない。
だって沙奈は、この卒業を機に、夢を叶えるべく留学するのだから。
両親の猛反対を、なんとか押し切って、許しをもらえたそうだ。
きっとこんなひとことでは表せないくらいに、努力してきたんだろうな。
1番近くで沙奈を見てきたけど、沙奈は辛そうな様子を一切私には見せなかった。
やっぱり、強いなと思う。
「きっと大変なこともあると思う。でも、頑張ってね。沙奈のこと、誰よりも応援してるから」
「ありがと。でも、それはこっちのセリフ。未歩も頑張りなよ」
「…………」
「今日でしょ? 小説の編集担当さんに会うの。泣きすぎで目腫れてるから、それ直してから会いなね?」
沙奈の指摘に思わず瞼に触れる。
ホントだ。ちょっと目が熱い。これは赤く腫れてる気がする……!