【完】時を超えて、君に会いに行く。
卒業証書みたいに、筒状に巻かれてる白い紙。
けれど卒業証書より、倍は大きい紙だと思う。
沙奈と違って両手が空いてる私は、その紙を広げてみた。
「うわ、すげー!」
声をあげたのは、私じゃなくて航の方だった。
紙いっぱいに、私が小説を書いてる横顔が描かれている。
私はその絵を見て、息をするのを忘れた。
……この絵……。
「僕の見ている風景」
沙奈の言葉に、心臓がドクンと脈打った。
「未歩にあげる。私の大傑作」
「…………」
「どうした?未歩」
ずっと黙ったままの私を、航が覗き込んでくる。
「あ、いや……なんていうか、この絵を見てると、不思議な感じがして……」
「不思議な感じ?」
「うまく言えないけど……誰かが私のことを見てくれてるっていうか……そんな気分になるっていうか……」
自分でも意味のわからない発言をした気がして、思わず口ごもってしまう。