【完】時を超えて、君に会いに行く。
なぜそう思うのか、それすらもわからない。
だけどこの絵が、私に何かを訴えかけてるような気がする。
なんだろう?
この胸の痛みは……。
……気のせいかな?
もう時間もないし、行かなきゃ。
「沙奈、ありがとう。大切にする」
「うん」
「ごめん、私は何もプレゼント用意して来てないや……」
親友が遠くへ旅立ってしまうというのに、今日のことで頭がいっぱいで、すっかり忘れてた。
こんなことなら、おそろいのキーホルダーでも買っておけばよかったなぁ。なんて、今更後悔。
「そんなのいらないよ。その代わり、本が出版されたら、まず1番に私にサインちょうだい!」
無邪気に小指を立てながら、約束をしようとする沙奈に、思わず微笑む。
なんて友達想いの優しい子なんだろう。
こんな子と仲良くなれて、私って本当に幸せ者だと思う。
「うん、約束する」
そっと小指を立て、沙奈の小指と絡めた。
もう少し先の未来で、この約束が果たせますように。