【完】時を超えて、君に会いに行く。
「未歩。そろそろ時間よ」
卒業式に出席していた保護者たちは、ホームルームにも顔を出していた。
そして、時間を見計らったお母さんが、私の元へやって来た。
まだ未成年の私が小説を出版するためには、出版契約の関係もあり、親の同伴が必要だったから、これからお母さんと一緒に行くことになってる。
「うん、今行く!」
そう大きな返事をした。だけど、最後にもう一度……。
私は再び幼なじみと親友の方へと振り返った。
「行ってくるね!」
大きく大きく、卒業証書を掲げながら、笑って手を振った。
「未歩」
ずいぶんと落ち着いた声で、私の名前を呼ぶ幼なじみ。
何かと思えば、彼もまた笑って、
「未来を創りに行ってこい」
なんて、おどけたように言ってみせた。
「行ってらっしゃい!」
親友のその明るい声を最後に、私は名残惜しさを残しつつも、教室をあとにした。
さよなら。私の親友。
さよなら。私の幼なじみ。
さよなら……私の楽しかった学生生活。