【完】時を超えて、君に会いに行く。




「未歩。そろそろ時間よ」



卒業式に出席していた保護者たちは、ホームルームにも顔を出していた。


そして、時間を見計らったお母さんが、私の元へやって来た。



まだ未成年の私が小説を出版するためには、出版契約の関係もあり、親の同伴が必要だったから、これからお母さんと一緒に行くことになってる。


「うん、今行く!」


そう大きな返事をした。だけど、最後にもう一度……。



私は再び幼なじみと親友の方へと振り返った。



「行ってくるね!」



大きく大きく、卒業証書を掲げながら、笑って手を振った。




「未歩」



ずいぶんと落ち着いた声で、私の名前を呼ぶ幼なじみ。


何かと思えば、彼もまた笑って、



「未来を創りに行ってこい」



なんて、おどけたように言ってみせた。




「行ってらっしゃい!」



親友のその明るい声を最後に、私は名残惜しさを残しつつも、教室をあとにした。



さよなら。私の親友。


さよなら。私の幼なじみ。




さよなら……私の楽しかった学生生活。




< 387 / 420 >

この作品をシェア

pagetop