【完】時を超えて、君に会いに行く。



ツッチーは、わざとそんな風にプレッシャーをかけるようなことを言って見せる。



なんて意地の悪い人だ、なんて思えないのは、そのおどけたような口調と、彼女がとても仕事熱心でこの会社の人からも信頼されてる優しい人であることを、私自身が身をもって知っているからだろう。



ただ……ちょっと男癖が悪いのが難点であるのだけれど。




「あ、そうだ未歩。今日ね、私の知り合いの男友達が合コンしないって誘ってくれたんだけど、行かない?」



ほら来た。


これはこの子の、日頃からの恒例行事である。




「ごめん。私、合コンはちょっと……」



苦笑いを浮かべ、やんわりと断りをいれる。


ツッチーも無理強いするワケではないが、しばらくは、いい男がいるのにーっと、ブーブー言い続ける傾向がある。



何度かこんなやり取りを繰り返しているが、負けじと誘ってくるツッチーもすごいと思う。



まあそれは、私にもう何年間も彼氏がいないことを気にしてくれているからこその行動なんだろうけど……。



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