【完】時を超えて、君に会いに行く。
「あの物語は、あんた自身なんだと思った」
「……私……?」
「そう」
言いながら編集長は、ゆっくりと頬杖をつき、私を真っ直ぐに射止めるように、見つめる。
その瞳に映る私は……どんなだろう?
「寂しそうね」
「え?」
「あんたは今、順風満帆な人生を歩んでんのかもしれない。
だけどときどき……寂しそうに見える」
……寂しい……?
私が?
そんな自覚がなかったから、編集長に言われて戸惑った。
「過去には戻れないわ。だから、後悔しないために未来を変えなさい」
「…………」
編集長の言葉が、胸の奥深くに刻まれていくように、残る。
この人の言葉は不思議だ。
いつも、大切なことを思い出させてくれる。