【完】時を超えて、君に会いに行く。
「あれ、違った?」
「……わかんない」
わかるわけないじゃん。
ずっと幼なじみとして関わってきた航のこと……好きなんて、当たり前だよ。
小さい頃からずっと一緒にいたから、大好きに決まってる。
だけど、これが恋愛感情かどうかなんて、わかるわけない……。
おかしいな……。
航のことは、誰よりも、なによりもわかるはずなのに。
「ふーん。ま、いいけど。
とりあえず俺も、航が来るまで一緒に待ってる」
「え? 早く帰らなくていいの……?」
「すぐだと思うし、別にいいよ」
……なんで?
部活が終わるといつも真っ先に帰るのに、珍しい。
「……じゃあ、彼方も一緒に3人で帰ろうよ。航が喜ぶよ」
「ははっ、そうかもな」
私の提案は、無邪気に笑った彼方に簡単に受け流された。