【完】時を超えて、君に会いに行く。
唯一、沙奈だけが私が小説を書いてることを知っている。
私の学校の美術部は、一応部員はいるものの、幽霊部員のため、活動なんてほぼしていない。
たぶん、いるとしても3人くらいなんじゃないかな……?
部長である沙奈も、あんまり活動してないみたいだし。
そんなゆっくりできる美術室で、私は、〝沙奈と放課後も話してたいから〟っという名目をつけて、ホントはこっそり小説を書いていた。
「沙奈の描いた絵を見てるだけでも、楽しいんだよ」
なんて、とぼけてみせる。
実際に沙奈の絵はすごいし、見てるだけで引き込まれそうになるから、嘘ではないけど。
「ふーん。ま、いいけど」
半ば納得いってないような口ぶりの航は、私より一歩先を歩いていた。