【完】時を超えて、君に会いに行く。


「未歩、大丈夫?」



沙奈が心配そうに、私の顔を覗き込んでくる。



「うん、大丈夫。うるさくしてごめんね」



私は笑って謝った。


やっぱ沙奈は、すごく優しいなぁ。



私と違ってすぐムキになったりしないし、周りの人に気を使えるし。航が好きになるのも、無理ない。



「じゃあ、私はもう行くけど……」



「うん、ありがと。バイバイ」



私は沙奈に手を振って見送った。



沙奈は最後まで、私を気にしながら教室を出て行った。



うるさい幼なじみなんかより、沙奈みたいな可愛い子の方がずっといいに決まってるよね。



それは航だけじゃない。誰だってそうだろう。



「……っ」



もう、どうだっていいや。



早く帰ろ……。

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