【完】時を超えて、君に会いに行く。
静かになった放課後の廊下には、生徒の数は少ない。
そんな廊下を歩いてると、前方から見覚えのある人がやって来た。
あれ……?
「……彼方?」
数メートル先の距離。
部活にいったはずの彼方が戻ってきた。
そして私の目の前に来て、向かい合う形になる。
「どうしたの?」
「タオル忘れたから、取りにきた」
……あ、なるほど。
「ていう口実で、航から逃げてきた」
「えっ?」
すると彼方はかがんで私の顔を覗きこみ、見つめてくる。
その整った顔に見つめられ、一瞬だけ呼吸するのを忘れかけた。