【完】時を超えて、君に会いに行く。


「そういえば、未歩は小説が書けないから早く帰るの?」



「えっ?」



「いや、未歩が早く帰るなんて珍しいから……」



彼方から、小説の話題が出てきたことに驚いた。



「うーん。……小説が書けないっていうか、書きたいんだけど……」



「?」



「今のままじゃたぶん、書けないから、今日は万年筆でも買いに行こうかなって……」



〝金曜日〟が来るまで、おそらく私は小説が書けないだろう。



だって、航が事故にあうかもしれないっていう恐怖が、ずっと頭の片隅から離れないから。
< 67 / 420 >

この作品をシェア

pagetop